水無月十六作品
「あ、詩帆おはよ~」 教室に入ると、喧騒の中から式部真子の少し気の抜けたような声が飛んできた。 中学1年生から奇跡的に連続して同じクラスになった彼女は気の置けない友人だ。 「おはよ~。あぁまたギリギリだ」 荷物を机に置きながら教室の時計を見る…
目覚ましが鳴る前に街宣の声で目が覚めてしまった。 今日も彼らは地下世界の先住民、「亜人」の脅威を煽っている。
とある地下掘削現場。 古びたポスターを張り付けた大型の人型二足歩行重機が、 土壁を削って新しい空間を作っている。 ポスターには、堂々たる人型重機の姿とともに、 あるキャッチコピーが書かれていた。 『進め、地下へ もはや地上に用はない』 かなり過激…